セロ弾きのゴーシュ

宮沢賢治シリーズ第2弾

原作 宮沢賢治
作曲 白石准(2004〜2005年初頭に作曲/2005年に初演)
編成 チェロ1名(基本的に男性でゴーシュの台詞も担当、女性の場合は語り手が台詞を担当) 語り2名(1名でも可) ピアノ1名
内容 宮沢賢治原作の“セロ弾きのゴーシュ”は、数多く舞台化されていますが、我々の団体も大事なレパートリーの一つになっています。


ゴーシュが夜毎動物たちに聴かせる曲、金星音楽団が演奏する第六交響曲、それらのどの曲も、その前に書かれた“どんぐりと山猫”の心象風景を表す断片的な終止すること無く次の場面に続く音楽と比べたら、それぞれ一つの完結する「曲」としてゴーシュが演奏するという有り様(終始しないで遮られるものもあるが、)が大きな違いとして感じられます。

特に「第六交響曲」というキーワードに対して、白石准は、「ベートーヴェンの田園」という既成概念を全く考慮に入れないですべての曲を引用なしに創作しました。


また、チェロ奏者大島純がゴーシュのセリフを担当することにより、「ゴーシュが本当に演奏し、動物と語り合う」という、通常はゴーシュの演奏とゴーシュのセリフは別の人が演じることが多い中、音楽の作品でありながら、上質な舞台作品としても成立しています。


故にテキストは、ほとんど割愛なしにほとんど原文のままでありながら、朗読とも芝居とも全く違う世界観に、他の白石准の宮沢賢治作品と同様、この作品の評価があります。

特に、この物語には、演奏場面が重要な要素になっていますが、「言葉では表現できないゴーシュが演奏していた音楽」と言葉を融合させることによって、ある意味、他の宮沢賢治の作品よりも、この作品だけは、本来音楽を一緒に聴かないと、最後のゴーシュが巻き起こす感動を味わえないのではないか、と白石准が感じていたものを受け取っていただけたらと思います。


山猫合奏団としてこの作品を演奏する様になる前から様々なチェロ奏者や語り手がこの作品の成長に寄与してくれました。
機会を見つけ、その人達をも紹介したいですが、現況のメンバーの紹介を以下にします。


とはいえ、初演のメンバーは紹介するべきでしょう。

初演では、大島純の母君、歌手の大島良子さんが、ゴーシュを含め、すべてのテキスト部分を読みました。
暫くの間は、この形式で楠定憲や、高山正樹も語っていました。


その後、前述の通り、ゴーシュはチェロ奏者の大島純が、ゴーシュ以外の語り手と、夜な夜な現れる動物たちという役割で、役者が楠定憲と高山正樹の二人で語るというのが最近の基本になりました。


この作品には他にも動物たちの役割として、山猫合奏団のメンバーである、宇夫方路が、そしてゲストとして、白石准がミュージカルで共演し、楠、高山両氏ともですが、玉川大学の演劇専攻の同窓生、小関明久氏も出演して頂きました。

そして白石准以外にもこの作品にはピアノ奏者として、白石准も大島純とも懇意にしている、加納麻衣子氏もゲストで弾いていただいたことがあります。


最後にこの作品に登場する指揮者の楽長と鼠の子供は白石准が多くの場合その台詞を担当しています。




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